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2015年2月1日日曜日

研究内容の紹介(大澤)


みなさんはじめまして。大澤と申します。

私は、山形大学工学部 大学院理工学研究科に所属しています。専攻はバイオ化学工学で、研究室は田中研究室です。人工血管などの血液適合性材料の開発に関する研究により、医療に貢献しようと考えています。

 今回は、私が行っている研究内容について書かせていただきます。以下のキーワードに興味のある方は、是非読んでください!

 

キーワード:血液適合性材料、人工血管、ポリマー合成、精密合成、アミド基導入ポリマー、開環メタシス重合、regio規則性

 

 

現在の医療の課題

 医療技術に発展により、現在の日本は世界でもトップクラスの平均寿命をほこっている。しかし、介護を必要とせずに健康に生活を送ることができる年齢である「健康寿命」は、平均寿命に比べて約10歳も低い。このため、健康寿命の延伸のために、医療にかかわる革新技術の開発が必求められている。

 

 

 

材料の開発による健康寿命延伸へのアプローチ

 近年、医療は大きく発展してきている。新薬の開発や、ロボットを用いた低侵襲(痛みや傷の小さい)外科手術技術の発展、そしてiPS細胞をはじめとした再生医療など、治療の不可能な疾病がない時代はそう遠くないのかもしれない。

 疾病治療の手法の一つとして、医療用材料を用いたものが挙げられる。人工血管や人工股関節などは、実際に使用されている医療用材料の良い例である。薬剤が古来より疾病の治療や予防に用いられてきたのに対して、材料は疾病の治療や補助以外にも、損傷部位の代替物としても用いられてきた。さらに、iPS細胞などの現在盛んに行われている研究は、材料(細胞の培養皿など)を用いて行われているため、再生医療などの研究は材料なくしては行えない。今後の医療の発展のためにも、医療用材料の開発は非常に重要であると考えられる。

 上述した通り、人工血管や人工股関節などの材料は医療現場で実際に使用されているが、性能が不十分であり、長期の使用が実現していないのが現状である。このため、より生体に優しい(異物として認識されない)材料の開発が必要となっている。

 

 

 

血液適合性(抗血栓性)は重要の重要性

 医療用材料を生体内に埋入する際には、血液との接触は避けられないため、異物反応により血の塊(血栓)ができるのを防ぐ性質(抗血栓性)は特に重要視されている。以下に血栓形成について簡単に説明する。

 血液中には、様々な種類のタンパク質や血小板(血中細胞)が存在する。血液が異物に触れると、血中のタンパク質が異物表面にくっつき(吸着)、くっついたタンパク質を介して血小板がくっつく(粘着)。血中細胞である血小板中には、血液凝固に関与する様々な成分が内包されている。血小板がタンパク質にくっつくと、血小板の構造が変化するために、内包物が血小板外に放出される。放出された内包物は、更なる血小板の粘着を促進する役割を担っており、異物表面には血小板の凝集が起こる。さらに、血中のフィブリノーゲンと呼ばれる低分子量体の重合が起こり、フィブリンポリマーが生成する。これが血の塊(血栓)です。

 血栓形成は体の防御反応のひとつであり、更なる生体の防御反応を引き起こす引き金になる。また、医療用材料の埋入により血が固まってしまうと、脳などの細い血管を詰まらせてしまう恐れがある。

 上述した血栓形成は、タンパク質の吸着と血小板の粘着をもとに起こり、これらの反応は数秒から数十秒という非常に速い時間で起こる。これらの初期段階の反応を抑制することで、血栓の形成を抑制できると考えられる。

 

 

 

優れた抗血栓性材料:PMEA

 私が所属する田中研究室では、これまで、poly(2-methoxyethylacrylate)PMEA)と呼ばれるポリマーが優れた抗血栓性を示すことを報告している。

PMEA表面では、血中タンパク質の吸着がおこりにくく、そのために血小板も粘着しにくいため、血栓ができにくい。

 

 

なぜPMEAは優れた抗血栓性を示す?

PMEAの優れた抗血栓性の発現機構は未だ解明されていない。材料表面の様々な物性(電荷、凹凸、親水性など)が要因であると考えられ、これまで上記の物性と抗血栓性との関係が検討されてきているが、統一的な見解には至っていない。

もし抗血栓性の発現機構が解明されれば、細胞の接着やタンパク質の吸着の制御が可能となり、より多くの生体適合性材料の開発が期待できる。

我々は材料表面の水和構造に着目した。この理由は、タンパク質吸着や細胞接着といった生命現象が水環境中で起こり、その環境下では水分子が材料表面に最初に接触すると考えられるためである。

 

 

中間水が抗血栓性の発現には重要!

 水和構造は、含水したポリマーの示差走査熱量測定(DSC)を行うことで、定量化が可能である。そして水和構造は、材料との相互作用の違いにより3種類に分類できることが知られている。材料との相互作用が最も弱い水は自由水、中間的なものは中間水、最も強いものは不凍水と呼ばれる。

DSCによるPMEA類似体の水和構造解析と血小板粘着試験を行うと、特に中間水の量が増加するに従い、ポリマー表面への血小板の粘着数が減少する傾向が見られた。この結果は抗血栓性の発現には中間水が重要な要因になっており、さらに、ポリマーの一次構造制御により中間水量と抗血栓性の制御が可能であることを示唆している。

 

 


私の研究:アミド基に着目した中間水量の制御

 抗血栓性発現の重要な要因と考えられる中間水は、上記のPMEA類似体のみならず、アミド基側鎖を有するPDMAAmPDEAAmなどからも観測される。さらに、これらのポリマーは抗血栓性を示すことも知られている。アミド結合は、PMEA類似体が有するエーテル結合よりも水分子との相互作用が強いため、ポリマーの含水率を上昇させる性質を持つ。このため、アミド基導入ポリマーに着目することにより、ポリマーに発現する水和構造や抗血栓性の制御をするためのポリマー構造の拡張が期待できる。

 

 

どんなアミド基導入ポリマーを合成する?

 アミド基側鎖を持つポリマーに発現する水和構造や抗血栓性の制御を達成するために、アミド基導入ポリマーと水和構造との関係性、および水和構造と抗血栓性との関係性について検討を行う。

 上記で述べたPDMAAmPDEAAmといった血液適合性のアミド基導入ポリマーは、水溶性高分子であり、血小板粘着試験の様な生体(水)環境下で行う評価は、架橋などにより非水溶性にする必要がある。しかし架橋は、手間がかかるのみではなく、ポリマーの構造を変化させてしまう。この問題に対して、私は、構造を変化させずに、コーティングのみで使用可能である非水溶性のポリマーを合成することで、生体環境下での評価も可能にしようと考えた。

 非水溶性ポリマーの合成手法としては、開環メタセシス重合(ROMP)を用いる。この重合方法を用いることで、ビニルポリマー(主鎖骨格の2炭素ごとに側鎖を有する)より側鎖間隔が伸長された(側鎖密度の低い)ポリマーの合成が可能となる。特に、小林らが報告しているregio選択的なROMPにより、主鎖骨格上に等間隔で側鎖を有するポリマーの合成が可能となることが明らかとなっている。上記で述べた通り、PDMAAmPDEAAmといった血液適合性のアミド基導入ポリマーは水溶性高分子であるが、regio選択的なROMPにより得られる低密度側鎖型ポリマーは非水溶性を示し、さらにコーティング処理のみで血小板粘着試験の様な生体(水)環境下での評価が可能となることが期待できる。

 本研究ではregio選択的なROMPにより、ビニルポリマーより側鎖密度の低下したアミド基導入ポリマーを合成する。得られたポリマーに対して、DSC測定を行うことで、ポリマー中の水和構造解析を行い、さらに血小板粘着試験により、血液適合性評価を行う。上以上より、アミド基導入ポリマーの一次構造と発現する水和構造との関係性、および水和構造と抗血栓性との関係性について知見を得ることを本研究の目的とする。上記の検討を通して、ポリマーに発現する水和構造および、抗血栓性を制御するためのポリマーの構造拡張が期待できる。

 
 現在、3種類の低側鎖密度型アミド基導入ポリマーの合成に成功しており、さらに水和構造の解析も行った。得られたポリマーは全て非水溶性を示し、その内の2種類はからは中間水が観測された。これより、得られたポリマーは抗血栓性を示すことが期待できる。得られたポリマーの抗血栓性については、今後、血小板粘着試験を行うことで評価を行う。